【介護過誤】介護士のミスが原因の介護事故はなぜ起こるのか?[事例検証]

介護現場で起こる事故は、大きく分けて2つに分けられます。

  1. 利用者自身による事故
  2. 介護士のミスによる事故

介護士の技術不足や不注意が問われやすい介護過誤ですが、実は事故が起こってしまう背景には個人の問題以外に様々な問題が潜んでいます。

  • 介護過誤を起こしたくない
  • 介護過誤が起きる原因が知りたい
  • 介護過誤を防ぐ方法が知りたい

このような悩みを持っている人に向けて「介護過誤が起きる原因と、減らす方法」についてご紹介していきます。

介護士のミスが原因の主な介護事故

介護ミスが原因で起きる主な事故は以下のようなものがあげられます。

  • 転倒
  • 接触
  • 誤嚥
  • 誤薬

歩行介助時の転倒や移乗時の無理な姿勢による骨折、体位交換時におきてしまった表皮剥離や、無理な食事介助による誤嚥などが主にあげられます。

介護施設に入所している高齢者は、主に身体機能や判断能力が低下した要介護度の高い高齢者です。

そのため、骨粗しょう症であれば骨折がしやすく、嚥下機能が低下していれば誤嚥しやすくなります。

介護士がどれだけ注意していても事故が起きやすい状態ではあるのは確かです。

しかし介護士はリスクが高くても、出来る限り安全に業務を遂行して行かなくてはなりません。

利用者一人ひとりの状況を把握し、組織全体で問題を共有し、できるだけ介護過誤を減らせるように努力していく必要があります。

介護過誤の事例と再発防止策

実際に起きた介護過誤の事例とその事故に対する、再発防止策の例をいくつかご紹介します。

接触事故の事例

事故の種類接触
サービスの種類介護老人福祉施設
事故の概要車いすからベッドへ移乗介助を行う際、ベッドに左肩が接触した。左腕骨折。
事故の場所居室内
事故の原因移乗介助は2名で行っていたが、移乗時のベッドの高さが少し高めに調節されていたために、左肩がベッドに接触した。
出典:北海道庁ホームページ「老人施設等における事故事例集」より

【再発防止の取り組み】:移乗介助は2名で行う。また、ぶつかる物などがないか周りの状況を確認するとともに、 本人に声がけをしながら介助を行う。

転倒事故の事例

事故の種類転倒
サービスの種類介護老人福祉施設
事故の概要食堂のいすに座ってもらう際、職員がいすを引くために本人に背を向けた瞬間、バランスを崩して転倒した。左足骨折。
事故の場所食堂
事故の原因職員がいすを引こうとしたのを見てすぐに座ろうとしたと考えられ、本人への声がけが不十分であった。また、職員の立ち位置が不適切であった。
出典:北海道庁ホームページ「老人施設等における事故事例集」より

【再発防止の取り組み】:本人の観察をしっかり行うとともに、適切な立ち位置で、声がけを行いながら介助を行う。

誤嚥事故の事例

事故の種類誤嚥
サービスの種類介護老人福祉施設
事故の概要食事介助中、味噌汁を飲んだ際、誤嚥を起こした。
事故の場所居室内
事故の原因ベッド上で食事を摂っていたが、嚥下しにくい姿勢であった可能性がある。摂取ペースが早く、飲み込みの確認が不足していた。
出典:北海道庁ホームページ「老人施設等における事故事例集」より

【再発防止の取り組み】:ベッドの角度、入所者の姿勢、頭の角度について確認した後、食事介助を始める。入所者の摂取ペースに合わせて介助を行うとともに、飲み込んだか口腔内を確認してから次の介助を行う。

誤薬事故の事例

事故の種類誤薬
サービスの種類介護老人福祉施設
事故の概要居室内に飲んでいない薬があるのを発見。 職員が薬を渡し、自分で服用している方であるが、居室へ持ち帰って飲むのを忘れた。
事故の場所居室内
事故の原因服用確認が不十分であった。
出典:北海道庁ホームページ「老人施設等における事故事例集」より

【再発防止の取り組み】:自分で服用している入所者に対しては、服用したことを必ず確認することとする。

こちらの記事では「介護現場にひそむ事故の原因と対策」について紹介していますので、参考にしてみてください。

介護者側の3つのリスク

過誤が起きる介護者側のリスクとして3つがあげられます。

  1. 腰痛などの身体の不調によるリスク
  2. 技術や経験不足によるリスク
  3. 心の状態によるリスク

腰痛などの身体の不調によるリスク

特に気をつけなくてはいけないのは、体調が悪いのに業務に入ってしまうことです。

介護者に腰痛などがあれば当然事故のリスクは高くなりますし、睡眠不足や疲労が蓄積すれば集中力が落ちることで「うっかりミス」から大きな事故になる可能性もあります。

今の時期は特に、コロナの感染拡大が懸念されています。

「ちょっと体調が悪い」程度でも、抵抗力の弱っている利用者には感染しやすく、また重篤化しやすいです。

体調管理は自己管理ですが、気をつけていても悪くなってしまうことはあります。大事なことは、「職場に自己申告をちゃんとする」ということです。

技術や経験不足によるリスク

また、介護過誤を起こさないためには、個人の技術や経験も重要になってきます。

介助は、ただ単に器用であったり腕力があるだけではなく、観察力やコミュニケーション能力、正しいポジション取りなどの技術も重要になってきます。

心の状態によるリスク

厚生労働省が発表した「平成27年度の精神障害(うつ病など)の労災補償状況」の調査によると、請求件数の多い業種のトップは「社会保険・社会福祉・介護事業」だったそうです。

介護の仕事は、あらゆる職種の中でも特にメンタル面での負担が大きい職種です。

不眠などの睡眠障害やストレスによる飲酒量増加、自律神経失調症などにより精神的に不安定な状態が続くと、集中力が大きく低下し、普段はしないようなミスを起こしてしまう可能性があります。

介護ミスが起きないために出来ること

介護者側のリスクを無くすためには、個人でできる範囲の「体調管理や自己申告、技術の向上」なども大事ですが、それよりも「組織全体で取り組む」ことが重要です。

体調の変化を申告できる環境にする

組織として、従業員の体調をしっかり把握しておく必要があります。しかし多くの人が経験あると思いますが、

  • 「体調不良を職場に言いづらい」
  • 「少しくらいしんどくても頑張らないといけない雰囲気」
  • 「人手不足でとても休みたいと言えない」

など、体調不良をなかなか言い出せない職場環境はとても多いです。

ちょっとした変化でも、管理者に申告できる環境は、個人を守るだけでなく引き起こされる可能性のある介護過誤を防ぐことにもなります。

一人ひとりの技術レベルの把握

介護事故が起こりやす施設に「経験の浅い人に、技能以上の業務をさせる」という特徴があります。

多くが人手不足により、今すぐにでも戦力になってほしいためだと思いますが、このように個人のレベルに合っていない業務をさせることは、大きな事故のリスクにつながります。

介護者一人ひとりが、どの程度の技能を持っているのかを把握することは、介護過誤防止のためには欠かせません。

きちんと新人研修や、サポート体制が整っているのかが重要です。

まとめ

もし今の職場の環境に不安があり、改善が望めないようでしたら思い切って転職することをおすすめします。

些細な事故から死亡事故まで、介護過誤を起こしたくて起こす人はいません。

利用者さんやそのご家族に迷惑をかけるのはもちろんですが、介護者のメンタルにも大きな影響を及ぼしてしまいます。

人によっては、一生の傷になってしまう人もいます。

そのようなことにならないためにも、組織全体でしっかり介護過誤に対して予防対策を取っている施設で働くことが大事です。

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