こんにちはデザイナーのひつじです。
今回は「仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方」という本についての投稿です。
僕は最近このを読んだのですが、デザイナーの仕事に生かせる知識や気づきが満載だったので、デザインという視点で仕掛学について書いていこうと思います。
仕掛学とは? 本をものすごく簡潔にまとめました
いきなりですが仕掛けの例です
仕掛け例1
仕掛け例2
これは仕掛学の本にも例として掲載してあった仕掛けです。著作権の関係上、実物の写真ではありませんが1枚目は男子便器に的があるイラストです。そして2枚目はゴミ箱に小さなバスケットゴールが取り付けられています。
どちらも人が「〜したくなる」ように行動を誘導し、結果的に目的を達成させる仕掛けが施されています。
1枚目イラストでは便器内に的があります。男性ならお分かりだと思いますが、小便器のまわりは尿の跳ね返りなどでとても汚れやすいです。それを少しでも解消するために考えられた仕掛けが便器内の的でした。
的を設置することによって、「自然と狙いたくなる」といった人の心理に働きかけています。また的は一番跳ね返りが少ない場所に貼り付けることで、尿はねを自然と減少させることに成功しています。
また2枚目のバスケットゴールは、ゴミ箱にゴミを入れる時についついしてしまう動作(バスケットボールのようにゴミをシュートする)に着目し、それをより楽しく演出した仕掛けです。
仕掛学の定義
このように仕掛学とは、何らかの仕掛けにより人の行動を誘うことを指します。そしてこの本では仕掛けは3つの要素で定義されています。
それが
本の中では「仕掛学」という学問的側面からさらに細分化され、深堀りされていまが、ここでは割愛します。気になる方は本をチェックしてみてください↓
仕掛学の面白さは目的が2つ存在するところ
仕掛けには3つの定義付けがされていますが、今回僕が一番注目したいのが「目的の二重性」という部分です。
人は複雑なもので「ポイ捨てはやめてください」と伝えてもポイ捨てをやめない人はいて、正論や直接的なお願いを投げかけられても行動に反映されないことが多々あります。
なので目的達成のための選択肢に仕掛けというアイデアがあります。
例1の便器の話で言うと「尿の飛散を減少させたい」という目的があります。
それを解決するには直接的な注意喚起をするの他に、壁を掃除しやすいように変更するや便器そのものを改良するなどなど、方法はいくつも考えられます。
そんな中、便器内に的を作るという仕掛けは物理的な難易度も低く、しかもローコストで目的を実現させています。
「飛散防止」「的を狙う」の2つの目的が存在する
直接的に飛散防止を呼びかけた場合、働きかける側と行動に移す側の目的は共に「飛散を少なくする」という一つの目的に向かいます。
しかし、的を置くという仕掛けにより、働きかける側は飛散防止という目的は変わらずとも、行動する側は「的を狙う」という別の目的に向かっています。しかし結果的に飛散防止という大きな目的を達成できているのです。
注意や警告だとストレスや反感を抱きやすいことを見越し、相反する目的を付け加える。またその目的はそ人間が本質的に備えているような行動心理に根ざしていることによって、より自然にストレスなく、むしろ少し楽しいといった感情を抱かせることもできています。
これは一つのデザインのカタチであり、人に何かを伝え行動を促すための大きな解決方法だと感じさせられました。
人を動かす力!デザインは仕掛学で溢れている
デザインを直訳すると「設計」と出てきます。デザインと聞くと装飾的な部分をイメージしがちですが、本来の役割は情報の道筋を整えることを指します。
そのためデザインには解決すべきゴール、目的が存在し、そしてそれを実現するために様々な施策を考え、選択し、創り出すのがデザイナーの仕事です。
しかし「ポイ捨てはやめてください」などの注意喚起だけでは人を動かすことが難しい現実があります。
そこで本来の目的とは別の仕掛けを用意し、人々の行動を促し、結果として目的を達成させるのもデザイン(目的のための行動設計)の一つの方法論だと感じます。
もちろん状況によっては直接伝えることが目的達成につながることもあるでしょう。なのでデザイナーはその時その時に応じて最適なデザイン、道筋を考える必要があるのです。
デザイナーを志している方や、興味がある方は是非読んでみてください!