【介護保険申請】家族が認知症と診断されたら|使える介護サービス|

うま
うま

こんにちは、介護福祉士のうまです。今日は「もし親や身内が認知症と診断されたら」まず何をしたらいいのか、どんな介護サービスを使えるのかをご紹介していきたいと思います。

ある日突然家族が「認知症です」と診断された時のショックは当事者にしか分からないでしょう。何かおかしいな、と心の中で思っていても認めたくない気持ちもあったと思います。

私も学生時代に祖母が認知症になったとき、「なんでうちのおばあちゃんが?」とショックを受けました。今までいろいろあっても家族で支え合い築き上げてきたものが、「認知症」という病によって壊されていくように感じました。

日本は今、4人に1人が高齢者という超高齢社会をむかえ、急増する認知症患者が大きな医療・社会問題になっています。厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症になっているそうです。

私自身も自分の親が高齢者と言われる年齢になり、「認知症」は現実問題になっています。すでにご家族が認知症と診断された方、まだ認知症まではいかないが今後発症しないか不安な方、認知症になったらまず何をするか、どんな介護サービスが使えるかご存知ですか?

認知症と家族が診断されたら、なるべく早めに将来の家族のあり方を準備する必要があります。家族が共倒れにならないうちに、どんなサービスがあるのか、どうやって使えるようになるのかを確認してみてください。

介護保険申請からサービス開始までの簡単な流れ

開始までの流れ
  • 介護保険の申請

    必要な書類を準備する

  • 訪問調査

    市区町村の職員やケアマネジャーが直接自宅へ伺います。

  • 主治医の意見書

    かかりつけ医が「主治医の意見書」を制作する。

  • 一次審査・審査委員会

    コンピューターで一次判定をし、訪問調査の内容や主治医の意見書をもとに審査

  • 結果通知

    申請から約一ヶ月ほどで結果が通知されます。

介護保険の申請

まず最初にすることは『介護保険の申請』です。

介護保険は65歳以上で支援が必要になった人がサービスを受けられる制度です。申請は地域包括センターか、市区町村の介護保険課で行います。

まずは地域包括センターへ相談に行こう

地域包括センターは高齢者にまつわる介護や病気などの困りごとに対応してくれる「総合相談窓口」です。介護保険の申請窓口もあるので、申請の仕方や申請書の書き方などの相談にも乗ってくれます。

介護保険の申請に必要なもの

本人が準備して申請に行くのが難しい場合が多いので、家族があらかじめ取り揃えておくことをおすすめします。

準備しておくもの
  • 要介護認定申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 身分証明書
  • マイナンバーカード(通知カード)
  • 認印
  • かかりつけ医の診察カード(※あれば)

認定調査

訪問調査

要介護認定の受理がされると、「訪問調査」が行われます。市区町村の認定調査員か、委託されたケアマネジャーが自宅を訪問します。本人の心身の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りをします。

調査は全国共通の調査票使って行われ、項目数は全74項目あります。

主な調査項目
  • 身体機能|麻痺の有無や関節の動き、視力聴力など
  • 生活機能|移動の動作、食事の状況、外出の頻度など
  • 認知機能|意思疎通、生年月日が言えるか、自分の名前、短期記憶
  • 精神・行動障害|情緒不安定、被害妄想
  • 社会生活への適応|薬の服用、金銭管理、買い物や簡単な調理
  • 特別な治療|過去14日間以内に受けた治療、透析、点滴など
訪問調査で注意すること
  • 必ず家族が立ち会う
  • 本人の普段の様子をあらかじめメモしておく
  • メモの内容は本人に言わない(気分を害する可能性がある)

認知症の人は知らない人が来ると急に礼儀正しくなり普段の話ぶりよりもいいように見えることが多いです。本人も本当はできないことでも「できます」と主張しがちです。

家族の方は事前に日常生活の中で、何ができて何ができないか書き留め、調査員にはメモで伝える事が大切です。ポイントは”本人の前では言わない”ことです。

傷付いたりヘソを曲げて口論になるかの可能性もありますので、あらかじめ訪問調査前のアポイントの際に伝えておくのがいいと思います。

主治医の意見書

「主治医の意見書」を書くのは普通はかかりつけ医になりますが、かかりつけ医がいない場合は、市区町村が紹介する医師の診断を受けることになります。

もしかかりつけ医が内科ではなく整形外科医の場合は注意が必要です。介護認定には認知症の介護と、身体介護のチェックが必要ですが、整形外科医は身体介護の部分しか診ていません。

それを補いために、できれば神経内科医など他科の医師に見てもらい合わせて意見書の材料にしてもらうといいです、

一次判定

訪問調査の結果と、かかりつけ医の意見書の一部をコンピューターに入力して一次判定を行います。

要介護認定調査会

一次判定の結果を受けて、保健・医療・福祉の専門家が認定審査会によって要介護度を決定します。

結果通知

申請からやく一ヶ月ほどで結果が通知されます。

認定

  • 非介護度(自立):地域支援事業
  • 要支援(1〜2):介護予防サービスが利用可
  • 要介護度(1〜5):介護保険サービスが利用可

の8段階で判定されます。

介護保険の支給限度額(1ヶ月あたり)

自己負担(一割の場合)
要支援150,320円5,032円
要支援2105,310円10,531円
要介護1167,650円16,765円
要介護2197,050円19,705円
要介護3270,480円27,048円
要介護4309,380円30,938円
要介護5362,170円36,217円

認知症になったらどんなサービスを利用できる?

要介護認定を受ければ早速介護保険サービスを利用することができます。最初はもしかしたら、本人が「まだ介護保険なんか使いたくない」などの抵抗があるかもしれません。

ご本人の気持ちを尊重しながら「介護保険を使えればお得に家の階段に手すりが付けれるんだって」など金銭的なメリットを伝えるなどしてみるといいでしょう。

利用できる施設

認知症は社会参加がとても大切です。家に閉じこもり何もしなくなることが一番よくありません。

自宅から外に出て人とコミュニケーションをとったり、共同作業などを通して刺激を受けることが認知機能の維持につながります

また、デイサービスに通うことで生活のリズム作りにもなります。決まった時間に起き、送迎車で迎えに来た職員や他の利用者に挨拶をし、施設でのレクレーションを楽しむことがとても大切です。

日帰り施設通所介護(デイサービス)
食事や入浴などの日常生活支援や、レクレーションなど

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
特に認知症に特化したデイサービス

通所リハビリテーション(デイケア)
リハビリなど

小規模多機能型居宅介護
通い・自宅への訪問、施設への宿泊を組み合わせたサービス
短期入所施設短期入所生活介護(ショートステイ)
食事や入浴などの日常生活支援やリハビリなど
入居型施設●認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症と診断された人たちによる、少人数の共同生活施設。要支援2以上

福祉用具のレンタルや購入

車いすや介護ベッドなど、保険適用の対象となる福祉用具をレンタルまたは購入することができます。

認知症の人に福祉用具が必要なのかと思う方もいるかもしれませんが、認知症の方におすすめの以下の福祉用具があります。

認知症徘徊感知機器

《おすすめの方》自立歩行が可能の認知症の方で、徘徊を未然に防ぎたい方

出入口付近に取り付けた送信センサーが検知すると受信機に音で知らせてくれます。電波の到達距離は100 m。センサーは天井や壁面、室外でも取り付けられます。

そのほかに、床敷マットセンサーや、背中敷きセンサー(起き上がり検知)などがあります。

おすすめポイント
  • ベットから出る、または部屋から出るなどの徘徊の一番の兆候を感知し知らせてくれる
  • ベッドから下りた時点などでご家族が見守りに行くことで、転倒などによるケガを防ぐ効果がある。
  • 徘徊により大きな事故や怪我を未然に防ぐことができる

コミュニケーションロボット

《おすすめの方》孤独感を癒し、コミュニケーションの状態を改善したい

犬形玩具やアザラシ型ロボットなどがあり、音や振動をセンサーが感知してワンワン鳴いたり、おすわりや伏せ、逆立ちなどを行う。ボディは全面柔らかいぬいぐるみの毛で覆われている。

おすすめポイント
  • 本人を癒し、安心感を与える
  • うつや孤独感の軽減、コミュニケーションの改善が期待できる
  • 認知症特有の症状である、不穏や興奮を抑える効果がある
  • ロボットとのコミュニケーションを通して認知機能の向上の効果がある

服薬支援機器

《おすすめの方》薬の飲み忘れを軽減したい、自力で服薬したい

服薬支援機器を使用するには介護者の支援の必要です。薬を機器に適切に設置する、飲めたかどうかの確認声かけを行うなどが必要です。

また生活の流れを考慮して、服薬の時間に目につく場所、音が聞こえる場所など適切な場所に設置します。

おすすめポイント
  • 服薬カレンダーは、一週間分の薬を入れておくことで飲むべき薬を適切に選択できます
  • 目につく場所に設置することで服薬忘れを防ぎます
  • 服薬アラームは、服薬時間をアラームで教えてくれます

介護保険で住宅改修

手すりの取り付けや段差の解消など、ご本人の身体状況に合わせた住宅の改修が行えます。

介護保険の対象となる住宅改修をすると、費用の9割が支給(一定の所得のある人は8割)されます。ただし、要支援・要介護区分に関わらず「支払限度」は20万円と定められています。つまり、改修にかかった費用のうち支給申請できるのは20万円までです。

おわりに

今回は家族が認知症と診断されたときに、まず最初にする介護保険申請のことや、介護保険で利用できるサービスについてご紹介しました。

診断を受けたばかりのご家族の方は、まだ気持ちと行動が伴わないかもしれません。今後ご家族が今の生活をより長く維持できるように、本人が豊かな生活を送ることができるよう願っています。