【介護転職】介護職が続かない原因|自分に向いている施設形態を見つけよう|

介護職はなぜ離職率が高く、定着率が低いのでしょうか。

離職をする大きな原因の一つは「労働環境が悪いから」で、もう一つが「自分にあった施設を選んでいないから」です。

離職する原因はこれだけではないですが、自分に合っている働き方、施設を選び、健全な施設に勤めることができれば、介護の仕事を長く続けることができると思います。

しかし、ブラック企業に入りたくて入っている人は一人もいませんし、入職前に気づくことはなかなか難しいことですが、ある程度見極めることも可能です。(他の記事でご紹介しています)

今回は「介護の仕事が続かない原因」「自分に合っている・向いている施設を選ぶことが介護職を長く続ける上で大事」という内容でそれぞれの施設の特徴と、どんな人に向いているかをご紹介していきます。

介護の仕事が続かない原因

介護の仕事を始めた当初は、おそらく多くの人が「人の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」という動機から仕事を始めていると思います。

しかし、実際に介護職に勤めてみたら、理想と現実の違いに「こんなはずではなかった…」と思いこの介護業界を去っていってしまいます。

では、実際にどのような現実にぶつかり離職してしまうのでしょうか。

働く環境が悪い(ブラック施設)

介護業界を離れる一番大きな原因は「働く環境が悪い」からです。いわゆる”ブラック施設”に勤めているために、多くの介護士が心身ともに疲弊し、介護の世界から離れていってしまっています。

主に「ブラック施設」と言われる特徴は以下のようなものがあげられます。

「ブラック施設」の特徴
  • 人間関係が劣悪(いじめや不平等が横行している)
  • 明らかな人手不足
  • 休日や有給休暇を希望通り取得できない
  • サービス残業を強いられる
  • してはいけない医療行為を強いられる
  • 労働基準法に違反している

この特徴は一部の例ですが、このような状況がもし実際に働いている現場で起きているとしたら、健全に働くことは難しく、心身共に追い詰められ退職してしまってもおかしくありません。

介護士として一番の喜びは、利用者さんやそのご家族に「ありがとう」と感謝されることです。「困っている人を助けたい」「人の役に立ちたい」という思いが原動力になっているからです。

しかし、あまりにも劣悪な労働環境では、そのような精神状態ではいられなくなります。

介護士として働き続けるには”ブラック施設に勤めない”ことと、”ブラック施設からは逃げ出す”ことが大事です。

「介護業界」と聞くと多くの人が「ブラックでしょ」と言いますが、実際には”きちんとした健全な施設”はちゃんとあります。

※こちらの記事では、「ブラック施設を見極める内容」をまとめて書いています。ぜひ見てみてください。

自分に合った施設を選んでいない

介護職が続かない2つ目の原因として「自分に合った施設を選んでいない」こともあげられます。

どういう事かというと、介護業界には様々な施設があって、それぞれに働き方の特徴があり、向き不向きや目指す介護士像によって働く環境は違うからです。

いわゆる”介護施設”と言われる「特養や老健」、民間企業が運営している「有料老人ホームやサ高住、グループホーム」通所施設である「デイケア・デイサービス」など。

そして施設ではなく、利用者さんの自宅へ直接伺う「訪問介護ヘルパー、登録ヘルパー」など様々です。

自分の介護スキルをガッツリ使って仕事がしたい。若いうちにバリバリ働いてスキルアップしたい。「特養・老健」

初めての介護職だから、まずは自分にできるところから少しづつ経験を積みたい。プライベートも大事にしたい。「デイケア・デイサービス」

主婦なので、夜勤や残業はなくて自分の休みの希望が叶うところで働きたい。給与よりも自由な時間の方が大切。「訪問介護・登録ヘルパー」

人によって働き方の理想は様々です。どんな施設形態に勤めるかによって働く環境が選べるのは介護業界の特徴なので、どの施設が自分の希望に合っているのかよく検討してから転職することをお勧めします。

※転職をお考えの方は、以下の記事にで「資格取得と転職ができる【厚生労働省認可】の求人サイト3選」をご紹介しています。

施設形態ごとの『働き方・向いている人』

「特別養護老人ホーム」に向いている人

特別養護老人ホーム(特養)
働き方・要介護3以上の介護度が高い利用者が対象で、主に排泄・入浴・食事介助など身体介助が多い
・従来型とユニット型で働き方に違いがあるが、基本的に高い介護スキルを求められる
・24時間365日稼働しているため、日勤から夜勤まで担当する
・土日祝日も勤務あり
・大人数の利用者さんを数人で介護する
・夜勤は一人で入ることもある
・看取りもある
・仕事内容がルーティーン化しやすく、流れ作業になりがち
特徴・日勤・早出・遅出・夜勤など
・昇給やボーナスもある
・給与が高い
向いている人・チームワークでの仕事が好き
・自分から進んでテキパキと仕事ができる
・何かあったときに臨機応変に対応できる
・人間関係を築くのが得意
・介護士としてスキルを磨きたい
・介護士としてステップアップしたい
・体力に自信があり、精神的にもタフ

介護のスキルもっと高めたい。認知症ケアなども身につけて、介護士としてステップアップしたい。

体力に自信もあるし、しっかり稼ぎたいから夜勤も入りたい。

個人プレイよりチームプレイの方が得意。チームワークで働きたい。

「介護老人保健施設(老健)」に向いている人

介護老人保健施設(老健)
働き方・医療ケアやリハビリがメイン(医師や看護師が24時間常勤)
・要介護1以上の高齢者の介護
・特養よりも介護度が低い利用者が多い
・利用者が必要とする、身体介助・生活援助を行う
・利用者さんの入れ替わりが激しく、基本的に3ヶ月〜6ヶ月以内に退所する
・土日祝日も勤務あり夜勤専属もある
特徴・日勤・夜勤あり
・昇給・ボーナスあり
・給与が高い
向いている人・チームでの仕事が好き
・色々な利用者さんと接したい
・コミュニケーション能力が高い
・医療ケアやリハビリなど専門知識を学びたい
・柔軟な考え方ができる
・臨機応変な対応ができる

医師や看護師、理学療法士など様々な職種の人と関わりながら、介護だけではなく色んな知識を高めて、どこに行っても通用する介護士になりたい

利用者さんの入れ替わりが激しいけど、たくさんの人と関わるのが好きだから全然苦じゃない。

「住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅」に向いている人

住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅
働き方・夜勤専従の求人も多い
・敷地に併設の事業所から提供する。(サ高住は訪問介護として提供)
・自立〜要支援・要介護まで幅広い方を対象にしている
・民間企業が運営しているため、提供するサービス内容が豊富
・高い入居費用を払って入居するので、接遇や対応に厳しい
・比較的身体介護を必要とする利用者が少なく、生活援助や見守りが多い
特徴・日勤・夜勤あり
向いている人・体力に自信がない
・設備の整った綺麗な施設で働きたい
・接客などに自信がある。または接客やサービス面のスキルを磨きたい
・特養や老健のように身体的にハードには働きたくない
・大人数の利用者さんを流れ作業のように介護するのは嫌だ
・一人一人の利用者さんと深く関わりたい
・コミュニケーション能力が高い

体力にそこまで自信はないので、身体介護があまりない施設で働きたい。

一人ひとりの利用者さんとしっかり向き合った介護がしたい。接客にも自信がある。

「デイサービス・デイケア」に向いている人

デイサービス・デイケア
働き方・自宅で過ごしている、比較的に要介護度の低い利用者さんが昼間に施設に来る
・日中のみ稼働している
・食事や排泄・入浴などの身体介助、機能訓練など行う
・日曜日や年末年始は休みのところも多い
・レクレーションでは企画を準備し、人前に出て盛り上げる
・利用者を車で送迎
特徴・日勤のみ
・早出・遅出・夜勤は基本的にない
・残業は付きにくい
向いている人・朝から夕方まできちんと決まったスケジュールで働きたい
・夜勤には入らず、日勤のみで働きたい
・残業はしたくない
・人前に出て盛り上げるのが得意(苦手じゃない)
・人を楽しませることが好き、おしゃべりや交流が好き
・比較的介護度の低い利用者さんを相手にしたい

お年寄りとお喋りしたり、楽しくコミュニケーションがとりたい。自分が企画したレクレーションで利用者さんに喜んでもらいたい。

しっかり定時で帰れるところで働きたい。できるだけ残業はしたくない

「訪問介護・登録ヘルパー」に向いている人

訪問介護・登録ヘルパー
働き方・利用者さんの自宅に直接伺い、必要なサービスを提供する
・基本的に一件あたりの訪問時間は1時間〜2時間程度
・利用者さんと一対一で対応する
・利用者の要介護度によって提供するサービスが異なる
・身体介護は、食事・排泄・入浴・移乗など
・生活援助は、買い物・掃除・料理など
・決められた時間内に業務を終わらせる
特徴・一日1時間から働ける
・基本残業はない
・7割が非常勤
向いている人・個人プレイで介護をしたい。一対一で利用者と向き合いたい
・基本的な介護スキルを持っている(有資格者)
・チームプレイが苦手
・決められた時間内にテキパキ仕事ができる
・一日短時間から働きたい。
・家事や育児の合間に、希望の時間だけ働きたい
・残業はしたくない
・スタッフ同士などの人間関係で悩みたくない

以前は施設で働いていて、人間関係で悩みたくないから、一人でできる仕事がしたい。チームプレイよりも個人プレイ派。基本的な介護スキルも持っているから大丈夫。

家事や育児の合間の空いた時間に、短時間でも働きたい。残業はしたくない

利用者さんと一対一の関係で介護がしたい。体力にはあまり自信がないから、介護度の低い利用者さんの介護をしたい。

まとめ

介護の施設形態や、働き方は複数あります。それぞれに特徴があり、向き不向きもあります。自分はどんな性格で、どういった働き方がしたいのかを明確にすることで自分にあった職場で働くことができます。

介護を離職するほとんどの理由が、「労働環境の悪さ」で、次に「自分の思っていた働き方と違う」ことです。

介護の仕事を長く続けるために、「労働環境の良い施設を選ぶ(ブラック施設を見極める)」ことと、「自分に合った、向いている施設を選ぶ」ことがとても大切です。