こんにちは、介護福祉士のうまです。今回は高齢者の住宅についてご紹介していきます。施設の検討や、高齢者の一人暮らしの参考になれば幸いです。
高齢者向けの住宅には、「介護保険施設」と「民間企業の施設または住宅」があります。
それぞれにメリットやデメリットがあります。「介護保険サービスが使えるところと、使えないところ」、「入居一時金がかかるところとかからないところ」、「医師や介護・看護士が常駐しているところ」など特徴やサービスはさまざまです。
自身の状況に照らし合わせて検討してみてください。
主な介護施設の特徴と費用の一覧表
介護保険施設
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) | 介護老人保健施設 (老人保健施設) | 介護療養型医療施設 | 介護医療院 | |
内容 | 常に介護が必要な高齢者に、長期に渡り介護や生活支援を提供する施設。『特養』 | 病院から自宅に戻るための短期滞在型施設。自宅復帰を目指したリハビリテーションを行う。 『老健』 | 慢性の病によって長期入院療養を必要とする人のための医療・介護・リハビリを提供。 (令和6年3月末に廃止予定) | 病状が安定し長期療養を必要とする人に生活支援・介護・医などを提供す施設。 (2018年4月創設) |
対象者 | 要介護3以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上 |
入居一時金 | なし | なし | なし | なし |
月額費用(※) | 5~16万円 | 10~20万円 | 8~20万円 | 8~20万円 |
備考 | 原則終身 | ー | ー | ー |
その他の施設と住宅
グループホーム (認知症対応型 共同生活介護) | 有料老人ホーム | サービス付高齢者 向け住宅 | ケアハウス | シルバーハウジング | |
内容 | 認知症高齢者が家庭的な雰囲気の中で介護を受けながら共同生活をする施設。認知症症状の緩和を目的としている。 | 高齢が食事・排泄・入浴などのサース介護生活支援を受けながら共同生活をする。高齢者向け居住施設。(介護付.住宅型.健康型) | 60歳以上の高齢者を対象とした賃貸住宅。バリアフリー構造で安否確認と生活相談サービスが受けられる。 | 身の回りのことはできるものの、自宅での生活が困難になった高齢者のための施設。 | バリアフリー仕様住宅に緊急時対応サービスなどを備えた高齢者向け公共賃貸住宅。生活相談、安否確認などが受けられる。 |
対象者 | 要支援2以上 (認知症の診断を受けた人) | 自立〜要支援・要介護 (施設により異なる) | 自立〜要支援・要介護 (施設により異なる) | 自立〜要支援・要介護 (施設により異なる) | 自立〜要支援・要介護 (施設により異なる) |
入居一時金 | 施設により異なる | 【要介護者】約250万~750万円 【自立者】1500~2000万円 | 【敷金】10~30万円 | 施設により異なる | 【敷金】家賃の2~3ヶ月分 |
月額費用(※) | 8~20万円 | 【介護付】12~25万円 【自立】5~18万円(※) | 賃貸+サービス費(※) | 12~20万円(※) | 家賃1~10万円(※) |
備考 | 認知症が重度に進行したら退去のホームもある。 | 特定施設は原則終身 | 入所期間は契約による | 特定施設は原則終身 | ー |
各介護保険施設の特徴
介護保険施設とは、介護保険サービスで利用できる公的な施設のことで、「介護老人福祉施設(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護療養型医療院」の3つのことを言います。
自宅での介護が難しい人で、介護保険の要介護認定を受けている人のうち、病状が安定していて、入院治療が必要ないことが入所の条件になります。
入所時にかかる費用はなく、月額費用としては、生活費(食費・居住費・日常生活費)と、要介護度別の介護サービス費1割〜3割を支払います。
【費用】施設サービス費+居住費+食費+日常生活費
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
常に介護が必要で、原則65歳以上で要介護度が3以上の認定を受けた方が対象です。
入所には数年待つケースが多いですが、申し込み順による入所ではなく、寝たきりなど重度の方、緊急性の高い方が優先されます。
原則終身利用が可能ですが、”看取り”の対応は施設によって異なります。
月額費用は月に5〜16万円と比較的安く利用できますが、相部屋になるケースもあります。近年では完全個室型の高額な特別養護老人ホーム施設も開設されてきています。
4タイプの居室空間
従来型個室 | 多床室 |
1室を1人で利用するタイプの居室。 | 1室に対して複数のベッドが配置されているタイプ |
ユニット型個室 | ユニット型準個室 |
基本は1室1ベッドの個室。 | ユニット型個室と異なる点は、 多床室を改装・分割して作られた個室という点。 |
※厚生労働省の方針で、2002年度(平成14年度)以降新設される特別養護老人ホームはすべて10部屋以下で共有スペースを併設したユニット型居室タイプになりました。
介護老人保健施設(老人保健施設)
在宅復帰を目指す施設で、要介護1以上の人が対象になります。必要な医療・看護・介護・リハビリテーションなどを受けながら生活する場です。
入所期間は大体3〜6ヶ月ですが、自宅へ戻ることが難しい人など、長期入所している人も増えています。
また、退院した後の受け皿としての役割が強く、常勤の医師が必ず配置されています。
介護療養型医療院/介護医療院
急性期の治療が終わり、病状は安定しているが、長期にわたり療養が必要な人の施設です。
要介護1以上の人が、療養上の管理・看護・介護・リハビリテーションを受けることができます。
※介護療養型医療施設は、介護医療院や新型老人保険施設への転換が進められ、2024年3月末には廃止されることになっています。
その他の介護施設・高齢者住宅の特徴
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
グループホームとは、認知症高齢者が5〜9人で食事、入浴、排泄などの介護や生活支援、リハビリやレクレーションを受けながら共同生活を送る住まいです。
認知症の診断を受け、要介護2以上の認定を受けて人が対象となります。重度の認知症や医療行為が発生する看取りケアなどには対応していないホームが多い。
グループホームは地域密着型のサービスなので、その地域の市区町村に住んでいる(住民票がある)が利用できます。
「グループホーム」を選ぶ際の注意点
有料老人ホーム
有料老人ホームは、60歳または65歳以上の高齢者が利用でき、食事の提供や入浴・排泄・介護・生活支援・健康管理など必要なサービスを受けながら生活できる場です。
サービスの内容、費用、入居条件などは施設によって異なります。主に民間企業や社会福祉法人が経営しています。
有料老人ホームには、提供されるサービスによって3つのタイプに分かれます。
介護付有料老人ホーム | 介護が必要になった場合、ホームが提供する介護サービスを利用しながら、同じホームで 生活できます。 |
住宅型有料老人ホーム | 介護が必要になった場合、入居者が個別に契約した外部の訪問介護などの介護サービスを 利用しながら、同じホームで生活ができます。※約6割がこのタイプ |
健康型有料老人ホーム | 要介護状態になったら契約を解除して退去しなければならない。※全体の1割も満たない |
「介護付有料老人ホーム」とは?
介護付有料老人ホームは、ホーム内のスタッフから24時間介護サービスを受けることが可能です。
各都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、住環境やサービス、人員配置などの基準は満たされています。
介護サービス計画書に基づいて、入浴・排泄・食事などの介護、その他の日常生活や療養上の世話、機能訓練を受けることができます。
入居者に対する介護職・看護師の配置は「3:1」と定められています。
「介護付有料老人ホーム」を選ぶ際の注意点
「住宅型有料老人ホーム」とは?
住宅型有料老人ホームは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」を受けていないてめ、介護サービスの提供は原則ありません。
介護が必要な場合は、外部サービスを利用しながら生活をします。
基本的には食事、日常生活支援、レクレーションなどを提供しています。
「住宅型有料」を選ぶ際の注意点
「サービス付き高齢者向け住宅」とは?
2011年の「高齢者住まい法」の改正により、国土交通省と厚生労働省共管の制度として「サービス付き高齢者向け住宅」が生まれました。
バリアフリーや生活に必要な設備を設け、高齢者が暮らしやすいように配慮された住宅です。
※施設ではなく安否確認と生活相談がついた「賃貸住宅」です。
「サービス付き高齢者住宅」を選ぶ際の注意点
介護施設の探し方
高齢者向けの施設を検討する際に欠かせない情報収集は、情報サイトのチェックや面談による相談などで行えます。
Webで探そう
インターネットで全国の介護保険施設や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の情報を簡単に調べることができます。
最近では自治体公式サイトでの情報公開も進んできています。
地域の相談窓口で探そう
次に、親や家族が住んでいる地域の「地域包括センター」、市区町村の窓口での相談です。
地域包括センターでは、地域の介護保険施設や民間の施設の情報を得ることができます。
まとめ
高齢者向けホームには様々な種類があり、介護が必要になった時、一人暮らしが不安となった時など、心身の状態や、希望する暮らしによって適するホームは異なります。
必要に迫られて施設を探している方、将来のために探している方、いろいろな状況の方がいると思いますが。それぞれの施設や住宅の特徴と自身に必要なものとを照らし合わせて、利用者自身にあった場所を見つましょう。