現場で働く介護士への心のケアが急務|介護士のメンタルがすり減る理由

うま
うま

こんにちは、19歳で初めて介護の仕事に就き、色々あり一般企業に勤めたりもしましたが、現在は介護歴7年で、介護福祉士の”うま”です。

「仕事だから我慢して当然」

「給料は苦痛の対価」

やりがいと理想を持って介護の世界に入っても、介護業界の現実に直面し、多くの介護士が辞めて行きました。

介護労働安定センターの調査によると、介護従事者の年間離職率は平均16.2%で、全産業の平均14.9%に比べ高く、勤続年数は約8割が3年未満だそうです

日本全体で働き方や労働環境の見直しが進められている中、介護業界も昔に比べて改善はされてきました。が、まだまだブラック施設が多いのが現状です。

  • 介護士のメンタルがすり減る理由
  • 介護士のメンタルを守る制度が必要
  • 深刻化する人手不足を止めるには、介護士の処遇の改善が必要
  • 介護業界はまだまだブラック企業が多い

今回は上記の内容について記事を書いていこうと思います。

介護士のメンタルがすり減る理由

介護職を離職する人の一番の理由は「精神的に疲れたから」です。

中には体を壊してしまい、やむなく離職される人もいますが、多くの人がメンタルをやられて退職を余儀なくしています。

それでは、なぜ介護士は精神的に疲弊しやすいのかを見ていきたいと思います。

労力と対価があっていない

一つは「労力と対価が合っていないからです」

労力対価

「介護の仕事は辛いわりに給料が安い」というイメージを持たれやすいかと思います。実際に他の職種に比べると、給与が低い傾向にあるのは事実です

介護の仕事は以下のように、多岐に渡ります。

  • 食事・排泄・入浴
  • 移乗・見守り・服薬管理
  • 掃除・洗濯・買い物
  • 家族の対応
  • レクレーション準備
  • 介護記録・申し送り

また、入所介護施設では夜勤勤務もあり、中には16時間以上一人で対応させる施設も存在します。

利用者さんの命を預かっているため、責任も大きくのしかかり、常に「転倒や誤嚥」などの事故が起きる危険と隣り合わせのため精神的な疲労も大きいです。

このように、介護の仕事は精神的・身体的に多くの労力を使うが、給与は月手取り14~16万程が現実で、多くの介護士が「割りに合っていない」と感じてしまいます。

厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によりますと介護職の給与は以下のようになってます。

国の統計調査
  • 平均月収:約24万
  • 平均年収:約340万
  • 平均ボーナス:約52万

全国の平均なので、関東などの比較的給与が高い地域も入っていたり、正社員も含めこのような数字になっていると思いますが、実際にこんなにもらっている介護職は一握りです。

現実の給与
  • 手取り月収:約14~16万
  • 年収:250万~300万
  • ボーナス:無し

資格を取得したり、キャリアアップすることで給与を上げることができますが、それでも他の職種の有資格者に比べると安く感じます。

労働環境が悪い

介護業界は労働環境が悪いところが多いのが現実です。(いわゆるブラック企業)

中には職場環境も良く、給与も高くボーナスも出る理想の職場も存在しますが、ごくわずかでしょう。

労働環境が悪い施設の例は以下のようなものがあります。

  • 職場の人間関係が悪い
  • 経営者や管理者がクセ者
  • サービス残業を当たり前とする
  • 常に人手不足
  • 利用者の問題(暴言暴力)をそのままにしている
  • 休日が少ない
  • 有給が取得できない(しにくい)
  • まともに休憩が取れない

上記の内容が全て揃っている施設は流石に少ないと思いますが、何個か当てはまるところが多いのが現実です。

こちらの記事では「ブラック施設の見極め方をご紹介しています」↓

勤務体制が不規則

入所の介護施設の勤務体制の特徴は、二交代制三交代制をシフトで回しているところが多いです。

二交代制
  • 日勤:8:00~17:00
  • 夜勤:16:00~10:00
三交代制の例
  • 日勤:6:00~14:00
  • 遅番:14:00~22:00
  • 夜勤:22:00~6:00

入所の介護施設はシフト制のため勤務時間がバラバラになりやすく、生活のリズムが崩れがちです。

夜勤や早番によって勤務時間が異なるため、睡眠時間も狂ってしまい睡眠不足から常に疲労がたまり精神的にも肉体的のも疲弊してしまいます。

睡眠不足により心身疲労の回復が十分にできない日が続くと、最悪うつ病へも移行する可能性があります。

今の職場環境を変えたい方には、こちらの記事で「自分に合った職場の見つけ方」をご紹介しています↓

介護士のメンタルを守る環境を作るべき

介護士の処遇や働く環境は以前に比べて改善はされてきましたが、まだ改善すべきところはたくさんあります。

その一つが「介護士のメンタルを守る環境」を整備することだと思います。

普通の会社では、最近はパワハラやモラハラに対しての罰則も厳しくなり、従業員を守る制度も多くなってきましたが、

介護士は仕事だからという理由で、主に認知症の利用者さんからの暴言や暴力をいまだに黙示されがちです。

また、利用者さん家族からの悪質なクレームなども対応することもあります。

それ以外にも、

  • 職場の人間関係
  • 給与面
  • 労働条件
  • 健康面

など多くの悩みを抱えてしまうため、介護現場は精神的に疲弊しやすい職場環境であります。

なので、今後の介護士の人手不足問題を解決するためにも、介護士さんのメンタルを守るための環境を整備することが必要だと感じます。

「仕事だから我慢して当然」はおかしい

「お金を貰っているのだから、利用者さんの暴言や暴力にも我慢して当然」

「理不尽なクレームもとりあえず頭を下げてくれればいい」

これらがまかり通っているのが介護現場の現実です。施設側が毅然とした対応をしてくれる場合はいいですが、施設によっては現場に丸投げのところもあります。

介護現場は、従業員をきちんと守ってくれる施設と、経営のみを重視して従業員の権利を無視している施設の差が大きいように感じます。

私が勤めていた事業所は、当時従業員が150名以上在籍している会社でしたが、有難いことに従業員の権利を”敬意をもって”きちんと守ってくれる施設でした。

従業員に敬意を持っているかどうかは以下の内容で感じました。

  • 給与面
  • 処遇面
  • こまめな相談対応
  • 従業員の意見を聞いてくれる
  • 待遇を良くしようと努力してくれる

なので、利用者さんとトラブルになった際も、利用者側だけを守るのではなく、きちんと間に入って対応してくれましたし、その際のメンタルケアもしてくれました。

しかし多くの施設では「介護士だから我慢して当然」のスタンスを取っている介護施設が多いのが現実です。

気軽に相談できる場所を作る

このように、精神的なストレスを受けやすいのが介護現場です。

そんな介護士のメンタルを守るためには、もっと気軽に相談できるような場所が必要なのではと感じます。

職場の上司や先輩、同僚に相談できるのならいいですが、多くの人は不安や不満を同じ職場の人に相談できないと思います。

職場の人に相談できない内容や、些細な悩みでも相談に乗ってくれる第三者がいるだけで、心を守ることができると思います。

今後の介護業界に必要なのは、処遇の改善もそうですが、働いている介護士の精神的ストレスを少しでもケアできる環境なのではないのでしょうか。

希望
  • 介護職専門の相談窓口を設置する(24時間365日対応)
  • 施設内に秘密保持をしてくれる専門の相談員をおく

一刻も早い介護業界の処遇改善は”国の力で”

介護の現場はまだまだ、まともとは言えない環境の職場が多くあります。

それが介護業界の全てではないので、まとも”ホワイト企業”もちゃんと存在しますが、ごくわずかです。

今後さらに高齢化が進み、介護が必要な高齢者が増えていくのは確実です。

一刻も早く介護現場の働く環境や処遇を改善しなければ、人員不足で倒産する施設や、人手不足で手が回らない施設、そのため待機する要介護者で溢れかえり、日本は大変なことになるでしょう。

一つ一つの施設で改善していくには時間がかかりすぎるので、国の力で処遇改善・環境整備を一刻も早くする必要があります。

まとめ

介護士のメンタルケアは今後より必要になってくると思います。

今現在も、コロナの影響で多くの介護従事者が不安の中日々勤務しています。そのような方々の精神的不安を少しでも解消できる環境を作る必要があります。

カウンセリングのような大袈裟なものでなくても、小さな不安や悩み、を聞いてくれる第三者の存在は大きいです。

悩みを聞いてくれるだけで全てが良くなるとは思いませんが、今現在働いている介護士を守るためにも、今後入ってくる人のためにも、介護士のメンタルケアをしてくれる環境が必要ではと思います。

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