介護離職をすると後悔する?|介護離職した際のデメリットとは

親や配偶者の介護を理由に、勤めている会社を退職することを「介護離職」と言います。

現在日本では、年間約10万人の人が介護理由で介護離職をしています。

介護離職をすることで「介護に専念できる」というメリットも得られますが、デメリットも多いです。

  • 介護離職をするかどうか迷っている
  • 介護離職した際のデメリットを知りたい

今回は、介護離職をするかどうか迷っている人に向けて上記の内容をご紹介していきます。

介護離職はできれば避けるべき!

人には様々な事情があるため、介護離職をせざるを得ない理由も色々あると思います。

しかし、結論で言えば介護離職はできれば避けたほうがいいです。

なぜ介護離職を避けた方がいいのかというと、離職した際のデメリットが大きいからです。

  • 収入が激減する
  • 親の年金で生活していると亡くなった後に貧困になる
  • 一人で介護に向き合うとストレスが溜まり虐待につながる可能性がある
  • 介護のプロを使わず自分流の介護になると低レベルの介護になる

介護離職は基本はしないほうが良いです。

介護離職をする際の一番のリスクは「収入面」です。

なので、「どこへ行っても高収入が得られる資格を持っている」や「貯蓄がしっかりできている」など、介護が終わった後の収入面での見通しが立っているような人でしたら、収入面では介護離職しても大丈夫でしょう。

しかし、収入面での心配はなくても、もし「一人で介護に向き合おう」と思っているのでしたら、それはおすすめしません。

使える介護サービスは使って、できるだけ介護は介護専門の人に任せることが重要です。

こちらの記事では「家族介護の現状」について書いています。参考にしてみてください。

介護離職をした際のデメリット

それでは、介護離職をした際のデメリットをご紹介していきます。

①収入が大幅ダウンしやすい

介護離職で一番大きなリスクは「収入の激減」です。

仕事を辞め完全に介護に専念しようと考えている人は、収入はゼロになってしまいますし、介護のために働きやすい職へ転職した際も、今現在の収入より減ってしまうことが懸念されます。

総務省「就業構造基本調査」(平成29年度)によりますと、介護が理由で離職した人が一年以内に再就職できなかった人は9万9千人のうち7万4千人だったそうです。

一度転職や離職をすると今より収入が減るほかにも、再就職が難しくなってしまうリスクがあります。

もし今介護離職を検討していて、「離職後の生計は親の年金で賄おう」と考えているのでしたら注意が必要です。

親がご存命中は年金で生活ができるかもしれませんが、親がなくなった後は収入が全くなくなってしまいます。

以上の面から考えて、介護離職は経済面でのリスクがとても高くなってしまいます。

②親の年金が収入源だと亡くなった後に貧困に

先ほども言いましたが、離職した後は親の年金で生活を賄おうと考えている場合はリスクがとても高いのでおすすめしません。

なぜかと言うと、親が生きている間は年金でやりくりできたとしても、亡くなってしまった後は年金が貰えなくなり、収入がなくなってしまい生活が困窮してしまう可能性があるからです。

再就職を目指しても、すぐに就職できないのが現状です。

③介護はストレスが大きい

介護と仕事の両立が難しく、介護に専念するために離職された方で、離職後の精神面・肉体面の負担の変化を調査したところ以下のようになったそうです。

  • 精神面での負担が増したと答えた人が「64.9%」
  • 肉体面での負担が増したと答えた人が「56.6%」
  • 経済面での負担が増したと答えた人が「74.9%」
出典:明治安田生命グループ「介護総合情報サイト」より

仕事と介護の両立が難しく、楽になりたいために仕事を離職したのに、離職する前よりも負担が大きくなってしまう人がとても多いのが現状です。

精神的にも肉体的のも負担が増し、場合によっては介護うつなどになってしまいますし、ストレスのあまり要介護者を虐待してしまう可能性出てきてしまいます。

④介護のプロよりも自己流の介護の質が低い

介護離職する方の中には、「介護を全て自分でするために仕事を辞める」という方もいますが、介護サービスを使わずに、全ての介護を自身で担うのには限界があります。

実際に私も、祖母の介護を自宅でしていましたが、多くの間違った知識や不足な介助で、祖母には不便な思いを沢山させてしまった反省しています。

介護サービスを使うことで、自分の時間も作れますし、安全で正しい介助も受けることができるので、自分で全て背負おうと思わず、介護のプロの力を借りることをおすすめします。

介護休業・休暇は国民の権利

2015年9月に始まった第三次安倍内閣の「新三本の矢」の一つとして「介護離職ゼロ」を掲げました。

主に介護が理由で離職する人の年代は50代〜60代の働き盛りの方々が多いです。このような人たちが、介護が理由で離職をすることは、社会全体の大きな損失になってしまいます。

それを防ぐために作られた政策が「育児・介護休業法」です。

こちらでは詳しく説明しているので参考にしてください。

この制度は、身内の要介護者一人につき93日間を3分割で休むことができます。

これは、実際に介護をするための期間ではなく「仕事と介護を両立するために準備する期間」と考える必要があります。

しかし、総務省の調べによると、この介護休業制度を実際に利用したことがある人は全体の15.7%しかいないそうです。

周囲の目が気になり会社に言いづらいや、もそもこのような制度を知らないなど理由は様々あると思いますが、使える制度をしっかり把握して、介護離職しないためにうまく活用してください。

まとめ

介護離職は、介護に専念できるというメリットもありますが、デメリットも大きくのしかかります。

しかし、介護離職が絶対にマイナスになるとも言い切れません。

後悔しないように経済面でのリスクや、介護をサポートしてくれる周囲の環境など、しっかり検討して決断するようにしてください。