【ブラック介護施設】転職で失敗しないために確認すべき15の内容

希望していた介護の仕事につけても、様々なことが原因で離職してしまう方も多くいます。

入社して初めの頃は、緊張や不安でがむしゃらにやっていても、数ヶ月して慣れてくると色々な問題にぶつかります。それではなにが原因で介護職をやめてしまうのでしょうか。

介護の仕事を長く続けていく上で大切なことが2つあります。

まず一つ目は「ブラック施設を見極める」ということです。どんなにやる気があっても、働く環境が悪いと続けていくのは難しくなります。なので、働く場所を探す”求職”の時点で、ブラックかどうかを見極めることが大切です。

また、働く前にブラックかどうか分からなくても、入社してから「ブラック施設かも」と感じれば、退職を検討するのもありです。

二つ目に「自分にあった施設を選ぶ」ことが大切です。介護士の働く現場は様々です。自分にあった働き方の施設を見つけることも長く続けていく上で重要です。

※こちらの記事では、「どんな施設が自分に向いているか」についてご紹介しています。興味のある方は見てみてください。

今回は、「ブラック施設を見極める方法」についてご紹介していきます。

  1. 離職の原因TOP.5
  2. 「入職前」にチェックする7つの内容
  3. 「入職後」にチェックする8つの内容
  4. ホワイト施設の特徴

離職する原因TOP.5

介護労働安定センターが毎年発表している「介護労働実態調査」によると、介護業界の離職率15.4%だそうです。他の産業と比較すると、平均離職率が14.9%なので、平均より0.5%ほど上回っています。

それでは介護職を離職する主な理由を見ていきたいと思います。

  • 1位 職場の人間関係に問題があったため (20.0%)
  • 2位 結婚・出産・妊娠・育児のため (18.3%)
  • 3位 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため (17.8%)
  • 4位 他に良い仕事・職場があったため (16.3%)
  • 5位 自分の将来の見込みが立たなかったため (15.6%)

「職場の人間関係」や「職場の理念・運営」に不満がつのり、退職してしまう方が約半数を占めています。

大なり小なり「人間関係」は仕事をする上で悩みの種になりがちですが、「ブラック施設」と言われる職場に勤めないことや、自分に合った施設を選ぶことで、退職まで追い込まれることは少なくなります。

転職を失敗しないためには『ブラック介護施設を選ばない』

それでは、「ブラック施設」とはどんな施設を言うのでしょうか。主なブラック施設のパターンはこちらです。”入職前”の段階と”入職後”の段階で「ブラック施設」を見極める目安をご紹介します。

入職前にチェックする7つの内容

「入職前」チェックリスト
  • いつ見ても求人募集をしている
  • 雇用契約が曖昧
  • 即時内定、すぐに勤務開始を求められる
  • 応募の電話や面接官の態度が高圧的、無気力な対応
  • 周辺の施設に比べて異常に給与が高い
  • 施設のスタッフに笑顔がない、殺伐としている
  • 施設内の清掃が行き届いていない

いつ見ても求人募集をしている

条件がいいにも関わらず、常に求人を募集している施設は要注意です。介護業界は人手不足ではありますが、常に募集をかけているのは、「人材が定着しないから」だと考えられます。

人材が定着しないのには何か理由があります。待遇の悪さか、人間関係の悪さか、なにかしらの原因があると考えられるので注意したほうが良いでしょう。

ただ、それだけで判断するのは難しいです。実際に目で見て感じることもあるので、もし気になっている施設であれば、一度見学に行くのをおすすめします。

雇用契約が曖昧

雇用内容が曖昧にしか書かれていない所も、要注意です。

  • 業務内容
  • 勤務時間
  • 年間休日数
  • 残業時間
  • 交通費の支給
  • 社会保険などの加入
  • 手当てや昇給、退職金の有無

求人欄の段階では確認するのが難しいですが、入職前に担当の求人アドバイザーや、採用担当者に必ず確認して、曖昧なまま入職しないようにしましょう。

きちんとしている施設は、必ずしっかりと記載がされています。

即時内定、すぐに勤務開始を求められ

簡単な質問を2つ3つしただけで「いつから働ける?明日から来れる?」と聞かれたことはありませんか?

このような対応をするのは、明らかな人材不足のせいでしょう。人材不足になるのは、人が定着しない原因が施設にあるからです。

「誰でもいい」から人を入れたい施設より、「こんな人を採用したい」と言っている施設の方が断然いいです。

応募の電話や面接官の態度が高圧的、無気力な対応

応募の電話や、面接時の対応でも「ブラック」かどうか見極めることができます。

応募の電話や面接時の対応で、明らかに無愛想な対応をされたり、高圧的または横柄な対応をされたことはないでしょうか?私も経験がありますが、緊張して応募しているのに、とても気分が悪いですよね。

採用担当はおそらく、入職してからは上司となる存在です。電話時や面接時にこのような対応をしてくる施設は働いてからも同じ態度で接してきます。パワハラなどされる可能性もありますので注意しましょう。

周辺の施設に比べて給与が高い

一見お給料が高いのはいい条件のように見えますが、こちらも気をつけたほうが良いです。

なぜなら、平均よりも高い給与を提示している場合、平均的な給与額では人が定着しないほど激務である可能性があるからです。

給与の高さに惑わされず、しっかり募集要項や雇用条件を確認してみてください。

施設のスタッフに笑顔がない、殺伐としている

面接や見学で施設に行く際には、従業員の表情や施設内の雰囲気をよく見ておくといでしょう。

求人内容や待遇が良くても、実際に施設で働いているスタッフの表情はどうでしょうか?いい施設は、施設全体に活気があり、スタッフもイキイキとしています。

しかし、ブラック施設は、施設全体の雰囲気が暗く殺伐としていて、従業員にも笑顔が見られません。そのような施設は、おそらく根本的に労働環境が悪く、スタッフが疲弊しているからでしょう。

面接や施設見学に行った際には、スタッフに挨拶などして反応を見てみるといいでしょう。

施設内の清掃が行き届いていない

見学や面接に来た際に、もう一つ確認しておくことは、「施設内の清掃が行き届いているか」です。施設内の清掃やメンテナンスが行き届いていない施設は要注意です。

掃除は施設を運営していく上で基本中の内容です。ましてや介護施設は高齢者の命をお預かりするところです。そのような場所が不潔であってはいけません。

施設内の不衛生や汚れが気になる施設は、人員不足などが原因がありますので注意しましょう。

入職後にチェックする8つの内容

「入職後」チェックリスト
  • 労働基準法を守っていない
  • 残業代が出ない
  • 求人内容や面接時の内容と実際の条件が違う
  • 休日が少ない、有給休暇が取得できない
  • 人員配置の基準を守っていない
  • 職員から利用者への虐待
  • 利用者から職員への暴力行為などの対策をしない
  • 認められていない医療行為をさせられる

以上のような内容がもしあるなら、即刻退職すべきです。また、求人を見て「おかしいな」と感じる施設には応募しないようにしましょう。

労働基準法を守っていない

ブラック施設で典型的な特徴は「労働基準法」を守っていないことです。

10連勤20連勤が当たり前で、中には夜勤明けに利用者の送迎を任されるといったところもあります。

今働き方改革で、働き方を改め、雇用環境を見直しましょうと散々言われている中、介護業界にも今だにこのように、休日も少なく有給休暇も取れず、休憩時間も満足に取れない施設があります。

このような環境で働き続けるのは心身ともに疲れ倒れてしまいますので、すぐに退職することをお勧めします。

残業代が出ない

先ほどの「労働基準法」を違反しているのと同じ内容ですが、「サービス残業をさせる」というのもブラック企業の特徴です。

「サービス残業」は明らかな違法行為です。

サービス残業を従業員にさせた場合は、労働基準法により「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と定められています。 

もし今現在、サービス残業をさせられて、それが当然のように横行しているとしたら、「労働基準監督省」に告発するか、弁護士に依頼して残業代の請求をしましょう。

私の身内でも経験がありますが、かなりの金額が返ってきます。泣き寝入りしてしまう人が減ることを願っています。

※尚、告発や請求するには証拠の証明が必要です。また、時期も退職してからするのをお勧めします。

求人内容や面接時の内容と実際の条件が違う

労働基準法で、雇用側は労働者に対して給与・休日などの労働条件を書面で明示する義務があります。また、面接時の説明と条件が違う場合は、即退職することができます。

例)社会保険への加入・交通費等の待遇・賃金・シフト待遇など

休日が少ない、有給休暇が取得できない

休日や有給の取得も労働者として最低限の権利です。

よくあるケースで、「有給の申請を受け入れてもらえない」や「有給を取りにくい雰囲気がある」などがあります。

介護施設はシフト制のところが多いので、全体のバランスを見ながら自分の希望の休みをもらうのは難しいかもしれませんが、全く希望休が取れず、理不尽なシフトを組まれるような施設は要注意です。

待遇の改善を要求しても、変わらない場合は転職も考えましょう。

人員配置の基準を守っていない

介護施設には「人員配置の基準」が設けられています。これを破れば人員基準違反となり事業停止処分になる場合もあります。

厚生労働省の資料によると、平成26年度に人員基準違反で指定取消・効力の停止処分があった施設は212件あったそうです。

必要な人員を確保できていない原因は人手不足によります。人が足りないことで、一人当たりの仕事量が増え、重大な事故が起こる可能性も出てきてしまいます。

「人員配置の基準」を守っていない施設は明らかな”法令違反”になります。

職員から利用者への虐待

「介護職員が利用者に虐待をしていた」というニュースをたまに聞きますが、このようなことは滅多にあることではないですが、もしそのような場面や状況を施設内で確認しているのなら、明らかな「ブラック施設」です。

一言に「虐待」と言っても身体的な暴力だけを言うのではなく、言葉による精神的な攻撃や、介助やお世話を放棄する内容も「虐待」です。

利用者から職員への暴力行為などの対策をしない

次は逆のパターンで「利用者から介護職員への暴力行為やセクハラ」などが起こっている場合に、施設側がなんの対策を検討しない施設です。

「認知症だから仕方がない」や、「この人はこういう人だから」「我慢すれば済むでしょ」などと言って、従業員を守ってくれない施設も「ブラック」です。

認められていない医療行為をさせられる

もしかしたら、経験がある方も多いかもしれませんが、「認められていない”医療行為”をさせられる」という施設も危ないです。

私も経験がありますが、看護士がいない時間帯などに「このくらいの事は当たり前だから」「みんなしてるから」と言われてしまえば、いけない事だと知っていても、したがってしまうでしょう。

しかし、資格を持った介護士だけができる「医療行為(喀痰吸引・経管栄養)」意外は絶対にしてはいけません。

行われがちな「医療行為」
  • 有資格者以外の「喀痰吸引・経管栄養」
  • インスリンの注射
  • 摘便
  • 点滴の管理
  • 褥瘡の処置 など

それらを強要する施設はブラック施設です。

『ホワイト介護施設』の特徴

介護業界は「”ブラック”しかないんでしょ」と思われる方もいますが、”ホワイト”も全然あります。実際に私が働いてきた職場はほぼホワイトでした。

「ホワイト企業」の特徴
  • 残業が少ない
  • 有給休暇の取得率が高い
  • 基本給が高い
  • 福利厚生がしっかりしている
  • 上司や先輩からの手厚いサポートがある
  • 研修制度が充実している
  • 離職率が低い

私が最初に勤めていたところは、”ホワイト施設”の特徴をほとんど備えているところで、実際に従業員の定着率がとても高く、アルバイトやパートから正職員になるステップアップ制度も充実していました。

「介護業界」と言えば”ブラック”と言われてしまいますが、きちんと経営しているところも確かにあります。私が職場を決めるのに意識していることは、”その会社のトップ(社長や統括責任者)の人格掲げる理念です。

大きい施設や企業になると、今はほとんど面接担当が面接をしていて、なかなか経営者と面接する機会はないかもしれませんが、その時は、面接官や指導者の人柄や雰囲気を重視して見るようにしています。

会社の環境や運営に大きく影響を与えるトップ(管理職)が、信頼できそうにない人だったら仕事は続けることができません。

結論を言えば、介護業界にも「ホワイト企業」はあります。

もしブラックに勤めてしまっても、そこで「介護業界は全てブラックだ…」と諦めずに、転職を繰り返してでも自分に合った職場を探してみてください。

まとめ

実際に、”ブラック”と言われる介護現場が多いのは現実ですが、労働環境が健全で、スキルアップも目指せ、”やりがいが持てる”職場もちゃんとあります。

ブラック施設に勤め、心身ともに疲弊し「介護士なんかにならなければよかった」と思ってしまわないように、まずは「入職前にブラック施設かを見極める」ことが大切です。

しかし、面接時には「待遇もよく高給でいい施設だ」思っていても、いざ入職して見ると待遇が違うといったこともあるので、求職の時点でブラック施設を完全に見極めることは難しいかもしれません。

もし、ブラック施設に勤めてしまったら、頑張ろうとしなくていいです転職を考えてください。

「介護の仕事を続けてきてよかった」と思えるように、根気よく自分にあった施設を探してみてください。

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